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カセットテープ

カセットテープの開発者が逝去とのニュース。
音の録音ツールとして、現時点で最も長く世界中で愛用されていたのではと。

私も、赤ん坊の頃からカセットテープが傍にあったそうで、
物心ついた頃には普通に遊び道具。

両親が買ってくれた読み聞かせやテープドラマをはじめ、
自分の歌やピアノ、テレビやラジオの録音に大活用。

それだけでは飽き足らず、録音ボタンを半分だけ押すと
前に録音された音も半分残ることを利用して、
そのタイミングで歌をハモらせて何重声にもしたコーラスを録音。
って、この話、伝わるのだろうか?(笑)

憶えているのが、「街角トワイライト(当時でいうシャネルズ)」のイントロを
この方法で重ねて歌ってたこと。
録音時は前の声は聴けないので、タイミングは勘で歌うしかなく、
テープにはアンドゥー(やりなおし)なんてないので、ずれたらまた最初から。
でも、それは苦労とか思わなかったのが子供のやること。

そのうち、父がいない間にもう1台のカセットデッキを借りて、
2台にしてダビングしながら多重録音。

よく壊して叱られたけど、使うなとは言われず、
父が親戚の電気屋さんで修理してくれたりしながら
懲りずに多重録音を楽しんでいた幼少時期。

また、手回しで逆回転再生もよくやっていました。
当時、テレビで「クイズ・ドレミファドン」の中で「逆さ歌」という、
逆再生でかけた曲を当てるというコーナーがありました。
それが面白くて自分でもやってみたいとしていた小学生低学年。。

その後、4年生の授業でローマ字を習うようになった時、
そのローマ字で書いてある日本語を逆から読めば、
テープの逆回転と同じ原理になるのが分かった時は
なんか怖いながら面白かったのを今でも憶えています。

例えば、「おは」と録音して逆から再生すると「あほ」と聞こえる。
ローマ字で読む場合は「oha←→aho」。文字で書くと意味不明(笑)。

次第に、ギターも弾くようになり、段ボール箱で作ったドラムと合わせて
バンドをシミレーションした多重録音をするようになりました。
この頃はダブルカセットも出てきた頃。

二十歳頃に、初めて「MTR(マルチトラックレコーダー)」を買った時は、
カセットテープを利用して、こんなに便利なものがあるとはと嬉しかったです。

4トラックしか録音できないので、それを、当時出たDAT(デジタルテープ)に
ダビングして、それをカセットMTRに戻して、更に楽器を追加・・・
てなことを数多くやってきました。

この話、伝わっているか疑問ですが(笑)、
こんなわけの分からないことが今の仕事に役立っていたりしています。

テープの多重録音って、結構やっている方もいるんですよね。
山下達郎さんもラジオでこの話をされていた時は嬉しかったです。
あの壮大なコーラスワークからもその工夫を感じます。

私も、ここが基本になっているので、20〜30声のコーラスとか
作っていても楽しい。
KRYのニュースとか、カモンFMなどの曲もこうやって作りました。

それにしても、実家には何千本ものテープが眠ってますが、母からは
「あんたこれ聞くことあるんかね?」と呆れられていて、
確かに私もそう思います。(笑)
でも、曲のネタに困った時には、アマチュアの頃の無制限なアイデアと初心に
はっとさせられる日記のようなものなので捨てられない。

こうして、カセットテープにはものすごくお世話になってきました。
街の電気屋さんで新品のテープを買って、自宅で開封する時は
とてもワクワクしたものです。

今は、PCやスマホのオーディオファイルが当たり前になってますが、
テープのように、録音したものが物体となって残るアナログは
どことなく温かみを感じたりもします。
とはいえ、ものが増えなくて良い今のデジタル録音は何かと助かりますが(笑)。

改めて、発明されたルー・オッテンスさんに感謝と合掌。