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駅員さんの全盲への徹底サポート

私が一人で電車に乗る時に必ず駅員さんにサポートをお願いするようになったのは、
20年以上前のこと、山口の下松駅ホームに落ちたのがきっかけでした。
幸い、田舎駅で便数が少なかったので、すぐに自力で上りました。

それ以来、慣れている駅であろうがどこであろうが、一人で電車に乗る際は、事前に駅員さんにお願いするようになりました。
落ちる事の怖さというより、大勢の方に多大な迷惑をかけると思って。

以降、初めてお願いした時は少し恥ずかしかったけど(笑)、でも、
駅員さんが一緒ならば、全国どこへでも安心して行けて、人にも迷惑をかけないで済む実感をしてきました。
それ以来、当時、山口から、大阪や東京へ一人で度々出かけるようになりました。

というわけで、駅ではこんな感じでサポートして頂いている話を書いてみたいと思います。

 まず、窓口で、行きたい場所と、サポートをお願いしたい旨を伝えます。
すると、私の特徴、乗車する便、号車を、各駅に電話や無線で伝達して頂けます。

少し改札で待たせて頂いていると、駅員さんが来られて、ホームへ誘導して下さいます。
肩に手を置かせて頂く事、階段、エスカレーター、エレベーター、曲がるタイミングなど、ヘルパーさんのように完全徹底された誘導をして頂けます。

電車が到着して、駅員さんが手持ちのワイヤレスマイクで車掌さんに伝わるように場内放送でアナウンスして下さいます。
電車に乗り、ここで駅員さんにお礼を告げてお別れ。

そして、降車時には、次の駅員さんがスタンバイして下さっています。
乗換の列車や最終改札までご案内頂けます。
乗換が異なる鉄道会社でも、ちゃんと次の鉄道会社まで誘導して引き継いで下さいます。

改札を出てから、次の目的地を気にして下さる親切な駅員さんもいらっしゃいます。

というように、厳重なサポートと伝達のおかげで、安心して電車移動できて感謝する日々です。
今私は美瑞穂と一緒の移動が多いですが、
別々の現場もあるので、その時は駅員さんにお願いしています。

 20数年前は、まだ今のように、サポート体制が備わっていなくて、
ちょっと不思議だったり微笑ましかったりすることもありました。

思い出すのは、電車から降りたら車いすが用意されていた事がありました。
申し訳ないので、改札まで座らせて頂いたんですが、改札を出たら白杖を突きながらスタスタと歩いてしまって心が痛かった、なんてことも。(笑)

あと、その当時の伝達で、トランシーバーで、
「はい、20代の男性、発見しましたっ!」
と報告された時は思わずクスッと。
今ではそんな事はありませんが。

でも、今でも、無線で私の特徴を伝えて頂き、無線の向うから、「帽子にサングラス、グレーのジャンパーの男性、了解しました。」と復唱されると、なんだか犯人みたいだなーと。(笑)

ユニークな駅員さんも居て、道中が楽しくなるような事もあります。
私が背負っているギターに興味を持って下さる音楽好きの駅員さんも居たりして、
ホームでの電車待ちの時間も楽しく過ごせたりします。
あまりお互い真剣になりすぎるより、そんな微笑ましいほうが
駅員さんも周囲の状況を伝えやすかったり、
それで私が周囲を感じる感覚も読みやすかったりするもので。

 毎日利用する駅は、慣れて一人で歩けるので、毎回駅員さんにお願いしなくて良いのかもしれません。
でも、人や風の流れは毎日違うので、思った場所でも、数センチ違えば事故になる可能性もあって。

目が見えない事実は変わらないわけで。
だからこそ、これだけのサポート態勢で配慮して下さっているので、
それを活用させて頂いて事故を防ぐのは、視覚障害者各々で出来る
「社会への配慮」なのかもしれないなーと思えるようになりました。

以前も書きましたが、小さな迷惑をかけることで大きな迷惑が防げるなら良いのではと思います。

全盲が一人で駅内を歩く事を否定しているのではなくて、
見えなくても見えても、自分は大丈夫という気持ちが
惨事に繋がる可能性があるという心掛けだけは持ってたいなと、
忘れがちな自戒の意味を込めて書いてみました。

 あ〜、なんだか、ここ近年で、やっと「見えないことは見えないと正直に表現しよう」と思えるようになりましたかね〜。
そしたら、急に気持ちが楽になったりして。

これは、関西近辺ミュージシャンを始め、私に「見えてる疑惑」などのネタで周囲が笑ってくれるようになったからかも。
いいのかこれで。いいんです。(笑)

どこが電車と関係する話なんだか。 話が落ち着かなくなったので・・・
「今日はこんなところです。」→エンディング曲。(笑)